洗浄とは、被洗浄体の表面に付着している汚染、または被洗浄体の内部に存在する汚れを物理的、化学的な力で除去し、清浄な物質を得ることです。
洗浄の目的は、製品の表面に付着している汚染を除去することにより美観を増しより経済的価値を増し、現状の品質をそのままの状況で維持することです。
洗浄剤には、水系、準水系、アルコール系、塩素系、フッ素系、などの種類があり、それぞれの洗浄剤の特徴は異なる、不燃性、蒸留再生可能、金属への腐食参加の影響など洗浄剤の種類によって特徴が異なり使用用途も違います。
ノンハロゲン非引火性洗浄剤
特徴
- 高洗浄性 油性加工油、水、フラックス等の様々な汚れに対し優れた除去効果を発揮します。
- 高乾燥性 温風などにより速やかに乾燥します。
- 安全性 塩素系溶剤、代替フロンなどに比べ環境への影響が少なく、安全性の高い洗浄剤です。
- 非引火性 引火点が少なく、消防法の適用を受けません。(但し水分濃度管理が必要です。)
- 回収性 汚れと蒸留分離が容易で蒸留回収しながら使用できます。
- ノンリンス 純水リンスを必要とせず洗浄後にそのまま乾燥でき、水シミなどの発生がありません。
関係法令
- 消防法 非該当
- 有機溶剤中毒予防規則 非該当
- 化学物質管理促進法(PRTR) 非該当
- 水質汚濁防止法 非該当
- 大気汚染防止法 非該当
- オゾン層保護に関する規制 非該当
- 地球温暖化対策推進法 非該当
適応汚れと洗浄性
油性切削油、水溶性切削油、油性加工油、水性加工油、工作油水性工作油、防錆油、水溶性防錆油、潤滑油、プレス油、圧延油、引抜由、マシン油、鋳造油、熱処理油、ウレタン、樹脂系汚れ、ピッチ、トナー、切粉、インク、塗料、樹脂皮膜剤、バフ粉、水、研磨剤、有機物、ほこり、不明汚れ、指紋など
水系洗浄剤
アルカリ、中性、酸性の3種類に分類され、一般的には切削油の洗浄ではアルカリ性、中性が使用される。
特徴
- コスト 水で希釈して使用するので低コストです。
- 安全性 非危険物なので安全性は高く、低毒性で良好な作業環境を作れます。
- 汎用性 ほとんどの樹脂に使用可能です。
デメリット
- 乾燥速度が遅い
- 再利用ができず、排水処理対策が必要
- 油分溶解力が小さい
- 金属には防錆対策が必要
準水系洗浄剤
有機溶剤と組み合わせたタイプの洗浄剤、一般的に非鉱物油系の切削洗浄剤に適する。
特徴
- 洗浄性 油分溶解力が強く、イオン性汚れの除去が可能です。
- 汎用性 多くの金属に対応できます。
- 安全性 非可燃性洗浄剤であり、低毒性です。
デメリット
- 乾燥が遅く、リンス時の酸化、腐食対策が必要
- 被洗浄物が金属の場合、防錆対策が必要
- 洗浄剤コスト、排水処理コスト高い
- 可燃物のものは、消防法上の対応が必要
- 非可燃物のものは水分管理が必要
非水系洗浄剤
ノルマルパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系、芳香族系の4種類がある
特徴
- 洗浄性 油汚れに対して洗浄力が高いです。
- 少酸化性 金属への腐食酸化の影響が少ないです。
- 浸透性 浸透性が良く細部の洗浄が可能です。
- 安全性 毒性が低いです。
- コスト 蒸留再生可能です。
- 作業性 水系、準水系と比べて乾燥性が良いです。
デメリット
- 可燃性物質のため、防爆構造などの対策が必要
- 製品によって有機則中毒予防規則への対処が必要
- 固形物汚れの除去には不向き
- イオン性汚れに対する溶解力が低い
- 一部の樹脂やゴムなどを腐食する場合がある
非水系
アルコール系
特徴
- 洗浄性 浸透性が良く細部の洗浄が可能であり、蒸気洗浄が可能です。
デメリット
- 油分溶解力が小さい
- 吸湿性があり、錆が問題になりやすい
- 引火点が低い
- 再生ロス大
塩素系
特徴
- 洗浄性 油分溶解力が強く、浸透性が良いため細部の洗浄が可能です。
- コスト 蒸留再生が可能であり、低ランニングコストです。
- 作業性
- 不燃性
デメリット
- 毒性が強い
- 様々な法規制に抵触する
- 再生ロス大
- 分解し金属が錆びることがある
フッ素系
特徴
- 洗浄性 油分溶解力が強く、浸透しが良いため、良細部の洗浄が可能です。
- 作業性 不燃性で、蒸留再生可能であり乾燥性良好です。
- 安全性 毒性が低いです。
デメリット
- ランニングコスト高
- 再生ロス大